資産運用のアドバイスを始めたいと考えているFPの方へ 

資産運用のアドバイスを始めたいと考えているFPの方へ 

  執筆者 
金融商品や保険、不動産などの販売を目的としない独立系のファイナンシャルプランナー事務所を運営。子育て世代やシニア世代の住宅購入・住宅買い替えの相談を中心に、購入後の生活設計や資産形成の相談等を行っている。企業でのライフプラン、資産運用、確定拠出年金など種々セミナーや従業員の相談も実施。   
平澤FP事務所 代表 平澤朋樹  https://fphirasawa.com/   

資産運用アドバイスを苦手とするFPが多い? 

数年前と比較するとNISAや確定拠出型年金など税制優遇制度の認知度がグッと上がってきました。
ハードルも相当に下がり、多くの人が資産運用に興味を抱くとともにその必要性を認識するようになってきました。FPにとっても、資産運用アドバイスを身に着けることで収益を伸ばすチャンスが来ていると言えるでしょう
 

しかしながら、資産運用のアドバイスを苦手としているFPは多いのではないでしょうか。
なぜ苦手なのかというと、資産運用が「好きではない」ことが一番の理由ではないかと思っています。好きではないから苦手意識がある。積立投資やアセットアロケーションの基本はわかるけれども、相談者に適切なアドバイスをする自信がない。
そもそも自分であまり投資をしていないので、アドバイスに積極的になれないといった具合ではないでしょうか
 

 

まずは自分で口座開設 

その一方、積立投資を始める人は増えてきた印象です。つみたてNISAやiDeCo、インデックスファンドなどを自分で調べて始めているのです。ネットやYouTubeなどを見れば多くの有益なコンテンツに簡単にアクセスできます。書店に行けば初心者向けの資産運用の本が数多く並んでいます。実際の相談でも、これらの情報を上手に取捨選択し投資を始める個人投資家が増えているように感じます。
自分で少しでも投資をしている人なら「こんなに簡単なんだから始めればよいのに」と思うかもしれません
正にそのとおりなのですが、そう簡単でもないのが難しいところです 

とはいえ、資産運用のアドバイスをビジネスに取り入れたいのであれば、まずは自分が資産運用を始める必要があります。そうすれば口座開設から専門用語があってつまずくこともあるということがわかりますし、後々その経験もアドバイスに活用できます。口座開設がまだという人は、まずは多くの個人投資家が使う2大ネット証券のSBI証券と楽天証券を両方開設すると良いでしょう。そして投資信託の積立からぜひ始めて欲しいと思います。 

 

本当に必要なアドバイスは? 

さて、伝えたいことは「資産運用のアドバイスをしたいと考えているなら、とりあえず投資を始めよう!」ということではありません。重い腰を上げさえすれば実は多くの人がつみたてNISAやiDeCo、インデックスファンドの積立をスタートさせるところまでは比較的容易にたどり着きます。税制優遇制度を含む積立のアドバイスだけなら、ここまででも十分対応可能ですが、問題はその先です 

まだ資産がそんなに多くない人は一定程度の資産規模までは積立だけで良いかもしれませんが、すでに数千万円の現金を持っている人はそうは行きません。積立の設計だけでは手元にある現金資産の多くが残ったままとなり、しかもなかなか有価証券に変わっていきません。年間の貯蓄額が年間の投信積立額より多ければ、むしろ現金は増えてしまいます。リスク許容度に見合った理想的な資産配分を設計できたとしても、たとえば月に10万円の積み立てならゴールに達するまでとても時間がかかります。 

目標とする資産配分への到達時間を早めるなら、毎月の積立額を10万円ではなく50万円、100万円にするという方法が簡単です。100万円を何回かに分けて投資するという方法も考えられます。資産クラスごとに工夫を行い、債券などは一括で買ってしまい、株式投信だけ積み立てていくという方法も有効です。こういった方法はあくまでも一例です。資産が多くなれば取れる選択肢は多くなりアドバイスも人によって様々です。 

債券一つとっても投信を使うのかETFを使うのか、あるいは直接債券を買うかなどの選択肢がありますし、国内債券なのか、先進国債券なのか、新興国やハイイールド債などの高リスク債券を組み入れるのかなど、色々な手段が考えられますし判断も分かれます。ドル建て資産の組み入れも様々な考え方があるでしょう。たとえば金融機関に相談すればラップファンドやアクティブファンド、あるいは保険商品が紹介されるでしょう 

ネットや書籍には日米の個別株の投資についての情報があふれています。投資信託を使った分散投資、米国ETFを使った積立などの情報も多く目にします。最初に始めたインデックスファンドの積立から考えると一気に選択肢が増え、「果たして自分に適した資産運用はどうすればよいのだろうか」と思考停止に陥ってしまう程です。 

 

資産運用アドバイスはストック収入になる 

このように様々な方法が考えられる資産運用アドバイスですが、お客様のサポートを継続して受けられるという利点は大きくストック収益を作るのに非常に有益です 

ぜひとも身に着けて収益向上に役立てていただきたいものです。 

そのためにはまずは積立から始めるということはお伝えしたとおりですが、各資産クラスの扱いやどの金融商品を使うかなどはアセットアロケーションの提案には欠かせません。 
資産配分がリスクの9割を決めるというデータもあることから、この設計と目標の資産配分への移行プランがとても大切です。 

貯蓄と積立の設計ももちろん必要になりますが、資産運用提案の前にライフプラン設計をしているでしょうから、こちらは容易ではないかと思います。 


まずはFP自身の資産で設計するのが良いと思いますが、最初から取り組むのが難しい場合は誰かに設計してもらうというのも一つの方法です。