このようなタイトルの記事を読んでいるあなたは、恐らくこれからFPとして独立しようと考えていることでしょう。
もしくは、
「既に独立しているけど収入が安定しない・・・」
「他のFPとの違いがはっきりせず、自分の仕事に自信が持てない・・・」
「金融商品販売の手数料(コミッション)ではなく、相談料(フィー)や顧問料で食べていけるようになりたいけど、お客様への適正な価格提示が怖くて出来ない・・・」
というような悩みを抱えているかもしれません。
上記のような不安や悩みは多くの独立を考えるFPが抱える問題です。
この記事では、あなたが自分の仕事に自信が持てて適切なフィーをお客様から頂き、お客様から名指しで選ばれるようになるための考え方について書いていきます。
実際に私が実践している方法でもあるので、是非最後まで読んでみて下さい。
自分なりのストーリーを前面に出す
もったいぶる理由もありませんので、結論から述べます。
”あなたはFPとして何がしたいのか?そして、なぜそれをしたいのか?”
を明確にし、ストーリーとしてそれを情熱的に語ること。それが、あなたが独立FPとして成功するための秘訣です。
お客様の立場になってみて下さい。
①「ただ何となく仕事として保険を売っている人」
と、
②「自分が過去に痛い目にあった経験、保険のお陰で助かった経験などから同じように損をしたり、失敗する人を世の中から無くしたいという思いで保険の仕事をしている人」
あなたはどちらの人に保険の相談をしたいでしょうか?
①の人からは、定型的なヒアリングと平均的な提案がなされます。
対して、②の人からは一般的に知られていない提案される保険の落とし穴や隠れているリスク、支払う保険料と保障のコストパフォーマンス、いざという時の対応まで考慮して提案されるかもしれません。
結果的に同じ保険を提案されたとしても、そこへ至る道のりが違いますのであなたの満足度は②の方が圧倒的に高くなるはず。
多くの人が相談したい相手は②の保険販売員でしょう。
「その人がどのような想いで仕事をしているのか?」は意外とお客様は見ていますし感じています。
ですので、自分はどのような考え、想いでその仕事をしているのか?を積極的に発信しましょう。
そこに共感してくれる人があなたを選んでお客様になってくれます。
そして、発信する際はストーリーがあった方が共感され易いのです。
金融商品販売に頼らないからこそ選ばれる
保険や投信、不動産の販売が主な目的の人は、必然的にそのコミッションを得られる金融商品に沿ったストーリーしか語れません。
もしかしたら、仕方なく嘘のストーリーを語りお客様の不安や同情を煽って営業トークを展開している人も世の中には多いかもしれない。
この点、コミッションをメインの収益としない独立FPはどうでしょうか?
どこにも忖度しなくて良い立場のFP。
利害関係なく自由にモノを語れるFP。
そうです、金融商品販売を目的としない独立FPにしか語れないことがあるのです。
例えば
- :自分も同じ世代なので子育て世代の資産形成を手伝いたい
- :親が悩んでいるのを見ているので老後の生活資金準備を一緒に考えたい
- :無理して家を買って困っているから、家を後悔なく買って将来の資金問題も解決したい
- :カードローンで破産した友人を見ているから若年層の金融教育に貢献したい
- :自分も母子家庭で育ったので母子家庭がいざという時に困らないようにお金の相談に乗りたい
等々
これらの解決したい想いや自分自身のストーリーを語る際、実は販売する金融商品が決まっている方がやりづらい ということがあります。
当然ですよね?
世の中の大半の問題は、お金の話に限っても幅広い解決策があって保険だけとか投資だけ不動産だけという単体の武器で全てに対処するのは現実的ではないのですから。
どこにも忖度せずにお客様のことだけを考えて提案出来て、モノを語れるのが独立FPの強みです。
そして、お客様の立場に立てばそんなFPに相談したくなるはずです。
差別化は勝手になされる
独立するからには、あなたはビジネスの勉強をしていると思います。
そして、その勉強の過程で「差別化」や「マーケティング」「ブランディング」なる言葉も見たことがあるでしょう。
もちろん、ビジネスをするからにはこれらを考慮することは必須事項ですし、しっかり考えてやらなければいけません。
しかしご心配なく。
この記事でご説明している「自分の想いやストーリーを情熱を持って語る」ことでこれら基本的なビジネス要素は全て満たされます。
ありがたいことに、差別化もブランディングもマーケティングも全て勝手になされるのです。
- ●あなたが語るストーリーはあなただけの物なので他に競合はいません。
(ブランディング:差別化) - ●そして、情熱を持って語られるそのストーリーや言葉は共感がある人にだけ響き、いざ相談になれば他のFPには語れない言葉や視点で提案が出来ます。(マーケティング)
- ●結果、お客様は満足しあなたの顧客になるのです。(ファン化)
前述の保険の話のように、仕事としてやっていることが一見同じでもお客様の受けとる印象は全く変わります。
少し専門的な話になりますが「差別化」というビジネス用語は、多くの場合「何をするか?」に着目しています。
FPで言えば、他の人より「資産運用に強い」とか「保険に詳しい」とか「住宅ローンに詳しい」とかでしょうか。
同じ土俵での高低を競うのが、この「何をするか?」の世界です。
つまり、もっと安く、高レベルの仕事をする人がいればそちらが選ばれる世界。
保険にもっと詳しい人がいればそちらが選ばれる。世の中上には上がいますから同じ土俵でひたすら競うのは厳しい道です。
多くの人は、その時”差別化“としてただ何かを付け加えることを考えます。例えば、『住宅ローン+保険』のように。
しかし、この「何をするか?」「自分のスキルとしての強みは何か?」「差別化は何か?」ばかり考えていては、あなたのビジネスは中々軌道に乗らないでしょう。(そこで受け取るフィーも低いはず)
実は、真の差別化は「誰がするか(語るか)」なのです。
お客様から単純な価格やスキル、知識レベルで比べられない世界がこの「誰が」の世界。
そして、このそもそも土俵が違う世界へ持っていくことこそが本当の”差別化”であり、”マーケティング”であり、”ブランディング”になります。
「自分には専門がない」とか「お金を払ってもらうアドバイスができない」ということを思い悩む必要はありません。(もちろん知識やスキルは大事ですよ)
多くの人が勘違いしていますが、独立FPとして食べていくためにもっとも必要なものはスキルや知識、実務経験等ではないのです。
是非、「自分の得意分野は何か?」「何をするか?」ではなく”あなたはFPとして何がしたいのか?そして、なぜそれをしたいのか?”をよく考え、それを大事にして下さい。
「何を?」ではなく、「誰が(あなた)」を前面に押し出しましょう。
それが、遠回りのようでいてもっとも早い成功への道です。
以上、「選ばれる独立FPになる秘訣」というお話でした。
【執筆者】
寺島 岳臣