FPの資格を活かして、仕事をしようと思った時。まず最初に考えることの1つに、
「名刺を作る」ということがありますよね。
でも、名刺に何を書くべきなのかって、結構難しい問題ではないでしょうか。
・FP2級や3級でも資格名を書いた方がいいのか?
・資格名以外には何を書いたらいいの?
・何を書いたら仕事につながりやすいの?
などなど、色んな悩みや問題があると思います。
こちらの記事では、そんなお悩みを持っているあなたに、
100名以上の独立系FPにマーケティングを教えてきた私が、
「独立系FPは名刺をどのように作ればいいのか、何を書けばいいのか」
について具体的にお伝えしていきたいと思います。
目次
1.名刺に書くべき要素
まず最初にFPが名刺に書くべき内容について整理をしたいと思います。
名刺に書くべき内容は大きく2つに分けられます。
1つは、
・名前や住所などの基本属性要素
もう1つは、
・名刺から仕事につなげるためのPR要素
です。
この後、1つずつ解説していきます。
2.基本属性要素の内容
基本属性要素としては、
・名前
・事務所名
・住所
・メールアドレス
・電話番号
・資格名
などがあります。
この中で、名前は外すことができませんが、その他の要素は書かない場合もあります。
例えば、名刺交換をした人から電話で連絡をしてほしくない場合は、
電話番号を書く必要はありません。
また、事務所名も住所も、絶対に書かないといけないわけでもありません。
書けない項目は、最初は書かずに名刺にしても大丈夫です。
私の個人的な失敗事例としては、独立しようとした時に、
「上記の項目すべてを記載しないといけないものだ」
と思い込んでいました。
そのため、名刺が完成するまでにものすごく時間がかかってしまったのです。
具体的には、名刺に住所を書くために、事務所を借りる手続きをしました。
この手続きに、1ヶ月ほどかかったのです。
そして、事務所名も書かないといけないものだと思っていたので、
さらに決めるまでに時間がかかってしまいました。
「名刺がないから動けない」
そんな状態が長く続いてしまい、多くの機会損失をしてしまったのです。
最初は、名前とメールアドレスくらいあれば十分です。
そのため、名刺を使う機会があるのなら、まずは気軽に作ってみることをおススメします。
(1)資格を書く際の注意点
上記の6項目の中で、資格についても、最初は書かなくても問題はありません。
ただ、ファイナンシャルプランナーとして独立をするのですから、
いずれは資格名は書いたほうが良いでしょう。
なお、仮にFP2級であったとしても、名刺に書いても全く問題はありませんので、
自信を持って書いてください。
なぜなら、1級か2級かだけで仕事をお願いするかどうかを決める人は
ほとんどいないからです。
2級でも自信を持って書くべきです。
(但し、3級の場合は、3段階の一番下という印象を与えてしまうため、さすがに書かないほうが良いかもしれません。)
間違っても、
「1級を取らないと、名刺に書けないから、まず1級を取ろう」
という考えにはならないようにしましょう。
資格を取得するまでにまた数年時間がかかり、その時間がとてももったいないからです。
2級でも、3級でも、FPを仕事にして成功している人はたくさんいますし、1級か2級かだけで決めるお客様はほとんどいません。
安心して名刺に記載してください(実際、私自身もFP2級で独立系FPとして事業を軌道にのせることができました)。
FP協会の資格である、AFP・CFPについても考え方は同様です。
AFPであっても、自信をもって書けば問題ありません。
3.PR要素の内容
続けて、PR要素です。
PR要素としては、非常に多くのものがありますが、
主なものとしては、以下の5つがあります。
・肩書き
・キャッチコピー
・プロフィール
・趣味やプライベート
・サービス内容や実績
「仕事に繋げる!」という意味では、基本的要素よりも、こちらのほうが圧倒的に重要です。
ただし、こちらの要素も、仮に書かれていなくても、FPとしての仕事を始めることは可能です。
そのため、「PR要素をどう書けばよいかわからない」という理由だけで、FPとしての仕事の開始が遅れることがないよう注意しましょう。
この5つのうち、書けるものから順番に書いていけば良いです。
では、1つずつ解説をしていきます。
(1)肩書き
肩書きという言葉を聞いて、「何のこと?」と考えてしまう方も多いかもしれません。
また、「資格と何が違うの?」と思う方もいるかもしれません。
肩書きというのは、資格とは異なります。
資格は試験を受けるなどして、国や民間から付与されるものですが、肩書きは個人が自由につけることが可能なものです。
肩書きは、「あなたがどんな仕事をしているのかを短い言葉で表現するもの」になります。
一番イメージしやすいものは、テレビのコメンテーターなどが使っているものでしょうか。
一例を示すと、
・料理研究家
・戦場カメラマン
・医療ジャーナリスト
などです。
これらは資格名ではありませんよね。
短い言葉を使って、あなたがどんな仕事をしているのか表現する。
それが肩書きです。
FPの場合、「ファイナンシャルプランナー」という言葉を肩書きにするという方法もあります。
ただし、この場合は注意が必要になります。
私は最初、「肩書き」という概念を知らなかったため、名刺に「ファイナンシャルプランナー」と書いていました。
私の認識では、「ファイナンシャルプランナー=お金の専門家」でした。
そのため、ファイナンシャルプランナーと書けば、どんな仕事をやっているのかも伝わると思ったのです。
ところが、名刺交換を何度もしているうちに、ファイナンシャルプランナーという言葉は、
世の中では正しく認知されていないことに気づきました。
なぜなら、名刺交換をする度に、「保険の仕事ですよね?」と何度も何度も聞かれたからです。
その度に、私は、
「ファイナンシャルプランナーというのは、保険だけではなくて、
住宅ローンや資産運用などお金全般のアドバイスができる人なんです。」
と伝える必要がありました。
つまり、「ファイナンシャルプランナー」という言葉だけでは、
「どんな仕事をしているのか?」が正しく伝わらなかったのです。
ですので、家計のアドバイスを中心に行う人なら、家計コンサルタントとするなど、
あなたがやっていることを明確に示すような肩書きを考えてみてください。
ちなみに私の場合は、「保険料削減アドバイザー」という肩書きにしていました。
(2)キャッチコピー
キャッチコピーも非常に大切な要素の1つです。
だいたい25文字程度で、あなたが具体的にどんな仕事をやっているのかを記載します。
記載場所は、名刺の表面の目立つ場所が理想的です。
基本的な形としては、
「誰に対して、どんなメリットを」
という形で書きます。
例えば、
・50代以上の独身男性に、老後の不安を消し去る方法を教えます。
・これから戸建ての住宅を買いたいご夫婦に、500万円以上安く購入する方法
などです。
前半にあなたのターゲット顧客、後半にあなたが顧客に与える価値を表現していきます。
(3)プロフィール
肩書きやキャッチコピーと比べると、プロフィールの重要性はやや下がります。
プロフィールは、100文字程度で表現すると良いですが、
最大のポイントは、「なぜ今の仕事をしているのか?」を記載することです。
これが書かれていると、名刺の内容を読んだ人の共感につながりやすくなり、
仕事の依頼につながったり、仕事を紹介されたりしやすくなります。
(4)趣味やプライベート
4つ目です。
趣味やプライベートを書く目的は、名刺を見た人に親近感を持ってもらうためです。
もし、あなたの趣味が「アニメを見ること」で、
名刺交換をした人の名刺に「アニメが趣味」と書かれていたら、親近感がわくはずです。
お互いの距離が一瞬にして縮まりますし、会話も弾みますよね。
また、
「子どもが2人で6歳と3歳」
と書かれていて、あなたにも同じくらいの子どもがいるのなら、子どもの話をしたくなるはずです。
このように、趣味やプライベートはPR要素として、意外と大事です。
しかも、これまで説明をしてきた3つの項目、肩書きやキャッチコピー、
プロフィールと比べると、誰でも簡単に書けると思います。
是非、名刺には趣味やプライベートの欄を設けて、書くようにしましょう。
(5)サービス内容・実績
最後は「サービス内容・実績」です。ここでの注意点は、「書き過ぎ注意」です。
FPは業務範囲が広いですから、ついつい、色んなことを書きがちですよね。
「ライフプラン・住宅ローン・保険・資産運用・相続・・・・」といった具合です。
でも、「何でもできるは、何もできない」とマーケティングの業界では良く言うものです。
色々書けば書くほど、何が強いのかがわからなくなってしまい、結局仕事にならないのです。
ですので、名刺に書くサービスは、できれば1つ。
多くても3つまでにすると良いでしょう。
実績については、最初はFPとしての実績はありませんので、書くことがないと思います。
そのため、基本的には実績ができてきたら順番に書いていく形になります。
ただ、過去の職歴での実績で、書ける人もいると思います。
書ける人は、是非実績も名刺の中に書くようにしてみてください。信頼につながる要素になりますので。
4.まとめ
以上、FPが名刺に書くべき内容について解説をしました。
お伝えした通り、基本属性要素とPR要素の2つを書いていく形になりますが、
最初は書けないものもたくさんあると思います。
でも、
・書けないから名刺が作れない・・・
・名刺が作れないからFPとしての活動が開始できない・・・
というのは、非常に時間がもったいないです。
ですので、まずは書けるものだけ書いた名刺を作って、FPとしての行動を開始してみましょう。
あなたが作った名刺を使って、独立しているFPの人とたくさん会えば、参考になる名刺もたくさん見られるはずですから。
>>独立系FPが集まる団体 日本FPアドバイザーズ協会のイベント一覧
【執筆者】
FP専門経営コンサルティング事務所
中西雅司
保険会社に8年勤務後、「消費者に正しい情報を伝えたい」との想いから、2013年に完全未経験・情報ゼロからFPとして独立。当然、最初は全く結果が出なかったが、2年後に独立系FPの成功法則を発見し、軌道に乗せることに成功。
2015年以降は、「より多くの独立系FPに成功してほしい」、「その先にいる、より多くの消費者に幸せになってほしい」との想いから、累計100名以上の独立系FPを支援している。また、5000人以上の独立系FPが読む(株)FPライズのメルマガでも、執筆陣の1人として寄稿している。FPという仕事のすばらしさに魅了されている1人。
2021年からは、FPを応援するために、FPの資格取得に役立つサイトも運営している(まなまな(学ぶ前にまなぶFP3級))
また、2023年から、自分自身が独立当初に苦労した経験から、「FP実務を自宅でマイペースに学べる教材」であるFP実務の通信教育「NiHOME(にほめ)」を開発(FP資格を仕事にしたい人や金融機関から独立したい人向けの教材です)。